inspection劣化構造物の調査診断

塗木ファームポンド 現状把握と改修仕様

ファームポンド概要

構造 壁:PC構造、柱:RC造、臥梁点検歩廊:RC造
外構 PCフエンス
ポンプ室 硝子ブロック

設計時及び改修仕上げ

外壁 PC構造PCコンクリート素地仕上げ
内壁 PC構造PCコンクリート素地仕上げ・・木コン部分防水+打ち継ぎ面の防水
螺旋階段 鉄骨階段・普通鋼材溶融亜鉛メッキ(設計時)改修 ― 溶剤系塗装仕上げ
点検歩廊 コンクリート打放仕上げ(立上り・上裏)歩廊部分・モルタル塗り
手摺 支柱改修前:コンクリート埋め込み工法
改修:普通鋼材溶融亜鉛メッキ+溶剤系塗装
付属施設
(避雷針・風速計)
歩廊床基礎へ普通鋼材溶融亜鉛メッキ仕上げ
改修:水抜き穴切断加工・溶剤系塗装
外構ファンス 近年に取り換えを実施したものと推測

劣化症状

各部位ごとの写真参照

1. 外壁

  • コンクリート表面経年劣化により風化、コンクリート表面のざらつき発生
  • コンクリート型枠緊結材セパレーターをハットセパ(セパレーターと金属木コン一体型を使用)のため、木コン詰めモルタル錆腐食剥離落下が多数見られ、また落下はしてないが、浮き剥離の状況となっている・・原因は金製の木コンで詰め代がなく、接着面が平滑の上、折りセパ頂部の錆腐食による剥離落下の原因と推測する。
  • 木コン部分からの白華・ひび割れ(収縮ひび割れ)・コールドジョイントから白華(エフロレッセンス・・コンクリート中のカルシュウムの湧出)の湧出がみられる・・原因は内側の木コン及び打ち継ぎ分部の劣化による剥離などによるものと推測する
  • 部分的であるが西面最上段の打ち継ぎ分部より漏水(微量であるが)湧出している
  • 柱型部分も同様な状況を確認
  • 外壁面と柱型取り合い・跳ねだし上げ裏入隅部分の目地シールが劣化または未施工部分あり

2. 内壁

  • 木コン(全数)はΦ200+25+25で円形に部分防水・・無機系の防水と推測する 防水+保護材・・打ち継ぎ分部も全周にW250+25+25で施工
  • 防水層は常水面以上・喫水線前後・常時冠水環境部分と表面の劣化状況は違うが、塗膜にひび割れや剥離剥がれ部分を観察
  • 立上り壁と床ハンチ部分の塗膜防水は剥がれを生じている部分あり(堆積土で確認できない)
  • 一部であるが黒染みの湧水と思われる個所もある

3. 螺旋階段

  • 構造支柱や踏板には塗膜の劣化行錆などは部分的に目視で確認
  • 螺旋状の手すりは、最下段で錆腐食、断面の消失があり、パイプ内部も雨水の侵入で錆腐食鋼材厚の減少がみられる
  • 手摺支柱・手すり子は西方向側鋼材のほぼ前段錆の発生錆腐食の断面の消失を確認(欠損・穴あき)
  • 原因は強風雨時の土砂(農地の土砂粉塵)の飛散でサンドペーパー状の劣化または海水飛散の塩害(海岸線から遠すぎる)・・・劣化症状が一方方向に限られている

4. 点検歩廊

  1. 床板上裏(内外とも)
    雨水の水切れが悪いため強風時に風雨が巻き込み付着、降雨時は床板までの雨水の巻き込みがないため、爆裂や爆裂予備軍の濃度の高い黒色汚染
  2. 下がり壁(内外とも)
    黒色汚染は外壁同様、木コンの錆腐食爆裂による浮き剥離状態、鉄筋のかぶり不足の爆裂部分あり
  3. 手摺
    現状で錆腐食(初期症状・浮き錆程度)が発生、改修時の溶剤系塗膜はほとんど消失・・原因は強風時の農地の土砂粉塵の飛散
    改修時の切断手摺支柱部分は部分的に、補修の際の鉄部のさび止め処理・マクロセル腐食の対策が不足のため爆裂浮き剥離
  4. 床歩廊部分の床
    施工時の仕様は明確でないが、防水モルタル金鏝仕上げと推測
    現状では防水機能も低下し今後上げ裏部分も雨水の浸透漏水が発生するものと推測

5. 付属施設(避雷針・風速計・硝子ブロック)

  1. 避雷針
    3ヶ所・・アンテナ支持柱ベースは、施工後に水抜き穴のガス切断で開口し錆腐食が発生、現状では隠れて見えないがベース内のアンテナ支持柱は錆腐食
  2. 支持柱ベースと避雷針支柱と隙間があり、支柱ベースは狭隙間部に電解腐食の発生もあり、錆腐食の拡大断面欠損で転倒の恐れあり・支柱全体錆が発生
  3. 避雷導体も接続部や支持金物部分で撚り線の破断も見られるが、抵抗値測定では異常なし
  4. 風速計腐食状態
    操作線の状況がわからないが、破断その他があるのでは・・風速計の支持支線は全て破断
  5. 風速計の操作線配管は錆腐食で配管内部も雨水が浸水
  6. 硝子ブロック
    中央部分に硝子ブロックが破損・目地周りシール劣化破断

6. 外構フエンス

  1. PCフエンスで近年に取り換えしたものと推測、支柱・金網・横架材とも健全
  2. 撤去支柱部分のコンクリート埋設部分より錆汁が流出・・部分的に擁壁爆裂を生じている

改修仕様

1. 外壁

  1. 漏水の発生は内部防水の劣化による破断や剥がれなど劣化によるものと推測されるので内壁改修で提案とする
  2. 木コン等の爆裂剥離落下は、木コン部分の折りセパ頭の防錆処理のポリマー系錆止め塗装+無収縮防水モルタル充填とする・・・現状では浮き剥離の箇所数が明確でないため、全数打診調査が必要(推測数字で計上全数調査の上清算工事)
  3. 外壁全体コンクリートの表面の脆弱化が進行しており、止水処理の上塗膜系の塗装の施工か、含浸系コンクリート改質防水材の塗布を提案(塗膜系の防水材は内側からの漏水が発生した場合塗膜の膨れを生じるため、透水性のある材質で施工することが望ましい・・点検歩廊の上げ裏なども同様の仕上げ

ジルコンの必要性・メカニズム
ひび割れ追従性と閉塞性

2. 内壁

  1. 内壁の木コン・打ち継ぎ防水は環境に差がある劣化症状を示しており、今後20年程度の維持要求とすることを前提に(外部への漏水の症状が劣化進行と同時にヶ所数の増大)提案する
  2. 改修仕様として高圧洗浄(10~15Mpa)で全面の表面汚染物及び塗膜の剥がれ部分の除去を行い、無機系の特殊機能性防水塗布φ250+25+25のポリマーセメントで保護することを提案
    内壁
    B-2工法
  3. 底版取り合いテーパー部は高圧洗浄の上、全体的な汚泥処理・・壁面防水同様に既存防水層の剥離部分を除去し、下地処理の上無機系の防水材で処理
    底版テーパー部分断面防水納まり
    底版テーパー部分断面防水納まり
    底版テーパー部分断面防水納まり

3. 点検歩廊

床面・上裏(タンク内・外)下がり壁・鋼製手摺と劣化症状が違うため各部位ごとに改修仕様を提案。

床面

防水モルタル金鏝押え仕上げでモルタル表面の風化・モルタル面の浮き等発生があり、全数の確認はできていないが、浮き部分は注入固定(Pレスアンカー併用エポキシ樹脂注入)の上、高圧洗浄+特殊機能性防水を提案

笠木部分

床面と連続と考え、高圧洗浄+特殊機能性防水施工を提案、笠木部分は手摺支柱撤去跡の補修部分に鋼材の錆腐食で補修モルタルが、さび爆裂剥離、部分的な落下を伴ったものもあり、爆裂処理同様の処置の上防水を施工とする
防水施工の際は、鉄製手摺足元ベース部分の隙間にも防水材を充填し立上り100㎜まで防水材を塗り上げる(手摺の錆止め処理完了後に施工)

下がり壁部分

木コンの爆裂及び鉄筋爆裂部分は、木コン爆裂処理・鉄筋爆裂処理を行い、高圧洗浄+下地処理の弱溶剤系下地処理+弱溶剤系塗装ローラー仕上げとする
内・外盛り壁とも、端部へ上裏への雨水の廻り込による汚染及び爆裂予防のため、不朽板(アルミ複合パネルアルポリックt-2.0㎜)の水切りを取り付ける

内外点検歩廊上裏

足場仮設後 上裏全面打診調査を行い、鉄筋の腐食によるコンクリートの浮きを調査マーキングの上、爆裂処理を行い、 高圧洗浄+下地処理(シーラー・プライマー処理)+通気性の塗材の塗装

鋼製手摺

現状風化及びサンドプラスト状の風害により塗膜の消失と錆腐食 旧塗膜のケレン除去+現場溶融亜鉛メッキ厚付け塗装仕上げとする

鋼製手摺

4. 螺旋階段

耐用年数20年以上で検討提案。
現在手摺関係は手摺支柱・手すり子・手すりとも普通鋼材の溶融亜鉛メッキ仕様で製作その後全面溶剤系の塗装で改修されているが、風方向(西側方向面)の各部材とも錆腐食、断面欠損及び欠落が発生改修方法として、

A)手摺全面切断撤去新設
B)全面撤去更新新設

の提案を行うその理由。

A)手摺全面切断撤去新設
メリット
  • コストが新設より2/3程度削減できる
デメリット
  • 鋼材切断による踏板の変形・取り替え支柱の溶接による変形が生じる
  • 溶接等で高温による鋼材材質の変化により錆腐食局部的に進行し、数年毎に、塗装のメンテナンスと鋼材の錆腐食による取り替えも発生
  • 製作時に現状踏板形状で螺旋階段の施策をしたうえでの手すりの製作の上、現地取付け、全数溶接・修正など非常に難しい作業となる・・将来的な錆腐食補修窓のコストの増大
B)全面撤去更新新設
メリット
  • 工場製作3分割程度で製作、現地作業工数が少なくて済む
  • 溶接作業が少ないので、鋼材の変形や、溶接部分の錆腐食を極力抑えることができる
  • 全体的に向上での溶融亜鉛メッキ処理ができ20年は塗装の塗り替えが発生しない
デメリット
  • 工事費が30%程度増額となる

5. 付属施設(避雷針・風速計)

  • 避雷針支柱基礎ベースプレートは取り替えとする(普通鋼材溶融亜鉛メッキ工場塗装)・・アンカーボルト+ナットはSUS製であり既存仕様とする
  • 避雷針支柱・風速計支柱は錆腐食のみで断面欠損等は確認できないので、取り外しの上、ケレン+現場溶融亜鉛メッキ塗装とする・・・
  • 現状のアンカーベースへの挿入部分の支柱の錆腐食状況(錆による鋼材断面の欠損)が確認できていないので取替も提案
  • 避雷針支柱足元挿入部分は絶縁テープ巻き(現場溶融亜鉛メッキ塗装の上)
  • 避雷針支柱と基礎ベースは支柱挿入の為15㎜程度のクリアランスを取るが、そのクリアランス部分に充填剤を注入(無機系の無収縮ポリマーセメント・または発泡ウレタン)
  • 現状避雷導体は抵抗測定で、健全値を示しており既存使用とする(10Ω以下・・測定値1.5Ω)
  • 風速計の操作線の配管パイプ及びプルボックスは錆腐食で取り換えとする

付属施設(避雷針・風速計)

塗木ファームランド断面図

6. 外構フエンス

コーナー部分の爆裂状況

コーナー部分の爆裂状況

  • 爆裂部分のハツリの上、鋼材の撤去無収縮ポリマーセメントで充填補修(コーナー分部)
  • PCフエンス支柱・金網とも健全


7. ポンプ室硝子ブロック

  • 解体計画があるとのことで、破損割れの拡大防止のため、硝子ブロックへガラス飛散フイルム貼りを行い4周にはフイルム固定アングルを回す
  • 硝子ブロック破損部分のみ取り換え
  • 目地シールの切り取り打ち換え

    硝子ブロックの構造と部材

    硝子ブロックの構造と部材

    硝子ブロック部分的な取り替え

    硝子ブロック部分的な取り替え

原因
  • 硝子ブロック施工は、現在は上下左右枠取り合い目地部分には伸縮性のある材料で充填し、硝子ブロックの変形に対応する施工となっているが、新築当時の硝子ブロックの施工は目地部分の処理を漆喰等の充填としていたため変形に対応ができないため、傷などのある硝子ブロックを使用へ、その部分より破損が生じた。
  • 硝子ブロック補強筋が縦横@600で配置されており雨水の浸水により錆腐食による膨張で、硝子ブロックにあった傷などで破損