農業用建屋 劣化調査報告 現状把握と改修仕様
ポンプ室建屋 概要
| 構造 | RC造ラーメン構造 平屋 |
|---|---|
| 屋根 | コンクリートタンピング仕上げ パラペット 笠木モルタル仕上げ |
| 外壁 | コンクリート打放捕手の上アクリル系吹付タイル仕上げ |
| 内部 | 天井:木毛セメント板打ち込み 壁 :コンクリート打放仕上げ(ウレタン系塗装合板使用) 巾木:モルタル塗り・コンクリート打放目地別れ 床 :コンクリート直押え・・配線用トレンチ枠と排水溝設置されている |
1. ポンプ建屋 外壁
劣化症状
各所にひび割れを確認・・過去にひび割れ補修はUカットシーリングで補修・竪樋の支持金物の錆腐食・外灯は緊結材が錆腐食で破損雨水の侵入
外壁塗装
チョーキングは確認できない状況で防水機能はなし
サッシ他取り合いシール
各シールとも劣化症状を確認 固化・ひび割れ・剥離変色
改修仕様
ひび割れ・浮きの処理
浮きの処理
コンクリート打放であり浮き症状は、鉄筋・コンクリート打設時の緊結材木コンの錆腐食膨張や異物(木片)によるものと推測・・爆裂の処理方法で処置。
№01仕様書の爆裂処理方法に準じ処理とする。
ひび割れの処理
コンクリートを打設し35年程度を経過しており、乾燥収縮によるコンクリートのひび割れはほぼ終息して居るが、挙動ひび割れ(熱収縮・東面や南・西面)は夏季・冬季での太陽光により収縮挙動は発生する 構造ひび割れ(開口補強筋不足による発生ひび割れ)も同様と考える。ひび割れよりの漏水処置は、内壁での処置方法を提案とする。
劣化調査より現在発生ひび割れは0.1mmより0.5mm程度。
ひび割れはの処置は、日本コンクリート工学会・ひび割れ調査・補修・補強指針による(参考資料-4.1(2013 年版 参考資料-4.2.1 ひび割れ幅と鋼材腐食)より、表-4.2.1(2022 年版)における環境条件としては「塩分環境下」、「水掛かりあり」および「水掛かりなし」の3 種類を提示しているが、「水掛かりなし」のように環境条件としてはさほど厳しくない場合は,日本建築学会鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説23)に示される、0.5 mm を参考にするとよい。

ひび割れ発生状況
劣化調査資料からで現在0.2㎜~0.7㎜幅のひび割れが発生上記での水掛かりあり及び水掛かりない区分で部材耐久20年を基準とした補修方法で検討(表4.2.1より)。
6.3補修工法【解説】1)ひび割れの補修より
ひび割れの補修工法には、a.ひび割れ被覆工法 b.注入工法 c.充填工法があり、ひび割幅や補修目的を考慮して適切な工法の選定をするとあり、現在の立地条件・環境・ひび割れの挙動・ひび割れ幅を考慮、0.5㎜以下(ほぼ0.2㎜が全数の95%近い比率となっている)のひび割れについては、ひび割れ被覆工法を提案、材料については無機系の塗膜防水で収縮追従型の材料で提案する。
0.5㎜以上のひび割れについては、構造的に接着が必要とするものはエポキシ樹脂自動低圧で注入接着とする。ひび割れで漏水を伴うものは、ケイ酸系コンクリート含浸防水材を自然等圧注入で処理とする・・・コンクリートの回復・アルカリ復帰・錆抑制効果あり。
ひび割れ被覆工法
使用材料・特殊機能性防水 パラテックスA-1工法でひび割れを中心に幅50~75㎜をローラー塗布施工とする。


パラテックスA-1工法でひび割れを中心に幅50~75㎜をローラー塗布施工工程
- ひび割れの発生状況
- 被覆工法(シール工法施工)
- 下地処理材施工
- 試験施工で被覆工法での施工仕上がりの確認
パラテックスは対亀裂性を有しひび割れ追従性と自閉式機能有し、無機系の材料であり耐候性に優れた材料

漏水ひび割れ部分の処理
●ケイ酸系コンクリート含浸防水材を自然等圧注入工法
使用材料:ケイ酸塩系含浸材[ジルコン#10+#100]
- ひび割れ頂部および@300出注入用カップを取付固定
- 同時にひび割れ部分を閉塞
- 固定材が凝固したことを確認 清水をカップへ注水
- カップに水がなくなったことを確認・ケイ酸塩系含浸材を注水(#100)・・・コンクリート面の乾燥部分の湿潤化でひび割れ深度への注水を導く
- (#100)がなくなったことを確認し(#10・反応剤)を注水
- 注水の反対側よりケイ酸塩系の流出を確認・・カップ及び閉塞材を撤去
●ケイ酸塩系防水材とは
通常硬化したコンクリートの内部にはセメント粒子や骨材などの間に小さな空隙が存在しています。その空隙の大きさが大きい場合や空隙の量が多く存在することで、コンクリート構造物の水密性を確保することは困難な状況となります。
ケイ酸質系塗布防水材は、コンクリート表面に塗布することで、コンクリートそのものを緻密なものに変化させ、透水に対して防水性を付与する材料になります。防水機構は、防水材中から溶出したケイ酸イオンが、コンクリート中に浸透・拡散し、コンクリートの空隙中にあるカルシウムイオンと化学的に反応して不溶性のケイ酸カルシウム水和物が生成し、この結晶がコンクリート表層部の毛細管空隙を充填することによるものです。この反応によってコンクリート表層は、針状または繊維状結晶の成長促進作用で充填され、メンブレン防水とは異なる、コンクリート自体の緻密化による防水が可能となります
●ケイ酸塩系の特性
- 粘性がないため、漏水・水の侵入浸水範囲には落差に圧により全面浸透
- 湿った下地に施工が可能で工期が短縮できる。
- 速攻性はないが、安全性が高く、防水効果は半永久的である。
- コンクリート自体のアルカリ復帰と消失カルシュウムの再生により躯体の耐久性を向上する。
●ケイ酸塩系のメカニズム


●漏水ひび割れ部分 ケイ酸塩系含浸防水材 注入カップ工法の施工要領書

外壁塗装
塗装仕上げ(塗材は原則ローラー仕上げ)
- 高圧洗浄を実施 10Mpa~15Mpaで洗浄
- 下地調整材塗布
(一液水性微弾性サーフエーサー・反応硬化形エポキシ樹脂エマルジョン)(水性ソフトサーフエポ 同等品 エスケー化研) - 建築対候性上塗り材 超低汚染弱溶剤型塗料 アクリルシリコン樹脂塗材 ローラー仕上げ
(クリーンマイルドシリコン 同等品 エスケー化研)
水性ソフトサーフエポ 同等品 エスケー化研の特性


クリーンマイルドシリコン特性


取り合いシーリング(壁Uカットシールを含む)
壁Uカットシール
既存シール撤去しないでそのまま使用、収縮や凹みなどがないため既存のままとし、ひび割れ被覆工法・特殊機能性防水で塗布。ひび割れ被覆工法参照

サッシ及び取り合いシール
既存シール(変性シリコンシール)劣化収縮破断が確認されるためカッターや平たがねで除去、撤去部分の残滓を清掃し、シーリングプライマーをむらなく塗布しノンブリードタイプ)(汚染防止剤の製品の変性シーリングを充填・・施工は塗装前に行いシーリング表面に壁塗材を塗装時に塗りシーリングの保護材とし延命を図る

シーリングのノンブリードタイプとは
シーリング材に含まれる可塑剤(かそざい)という柔軟成分は、汚れが付きやすくなるブリード現象を引き起こすことがあります。可塑剤(かそざい)の入ったコーキング材を使っていると、変色が起きたり、表面がベタベタして汚れやすくなったり、シーリング材の上に塗装をすると黒ずんで汚染される。

2. ポンプ建屋 屋上スラブ・避雷針
劣化症状
屋上防水
コンクリートタンピング仕上げ・・表面の風化コンクリート防水でありひび割れや爆裂等の確認はできないが、コンクリート表面は風化によるざらつきあり・ドレン錆腐食。
ひび割れ灯などは確認できない・・防水機能を維持ドレン腐食による排水不良で堆積物・・錆腐食の進行などが発生。
屋上 笠木ひび割れ
コンクリートとモルタルの界面剥離による浮き発生。
笠木全面コンクリートとモルタル面の界面より、ひび割れ破断は生じているが笠木自体が剥離状態の箇所はない(浮上りなどの症状)。
避雷針
支線はすべて破断、避雷針突進及び支柱・・錆腐食・・同線は経年劣化により撚り線の破断がみられる。
改修仕様
屋根スラブ・笠木
屋上防水面の処置
表面の脆弱分部と黒色汚染を洗浄、コンクリートの密着性の良い防水材
高耐久性の無機系塗布防水を提案
高耐久性の特殊機能性防水・・パラテックスA-2仕様を提案・・立上り部分及び笠木部分まで防水の巻き込みを行

提案する表面被覆防水材
●特殊機能性防水A2工法(パラテックスA2工法)
水性樹脂エマルジョンと無機粉体の原料で超柔軟性(伸び率45%、引張り強度 1.35N/mm2)で、付着力(2.15N/mm2)は大きく、高い性能を有した材料である。
工法としての特殊機能性防水は原液+混和材で構成されものを水と混合、攪拌しローラー又は、金鏝仕上げで施工する工法である。混和材自体が粉体(アルミナ系セラミック・無機骨材)ある程度の粒子有する材料である。
笠木浮きの処理
表面脆弱部分と黒色汚染部分を高圧洗浄
穿孔の上、エポキシ樹脂部併用のPレスアンカー固定とする。
固定方法はエポキシ樹脂部分注入(注入範囲100mmΦ程度、SUS製Pレスアンカーを@150ピッチ間隔でコンクリート面に25MM以上挿入、締め付け固定。固定後、高耐久の特殊機能性防水で全面塗布処理を行う。


庇 パラペット水切りの取り付け
庇水切りの取り付け・・雨水の廻り込により上が裏の爆裂振興抑制のため、アルミ複合パネル(不朽材料)アルポリックt‐2.0㎜をSUS製PレスアンカーL-25mm。
固定取付面にはブチルシールを裏打ちの上固定する。

ドレンの処理
ドレン部分は現状錆腐食で欠損状態でないため・・ケレン錆止めの上、タールエポ塗装とする竪樋内部挿入鋳鉄部分も塗装。
目皿部分はタールエポ処理の上、補強布を敷き込み、特殊機能性防水の防水材を塗布する・・ドレン周囲より上裏部分に漏水を生じている。
避雷針
避雷針支柱部分(突針取り付け部分)ベースより取外しの上ケレン+現場溶融亜鉛メッキ(ローバル厚塗り)塗装。
支柱へ支線の取り付け金物を緊結し、元の位置に設置、その際ベース下へ及びベース部分も特殊機能性防水を塗布し、コンクリート接地面からの錆腐食対策を行う。
支柱への支線取付金物は絶縁テープなどを支柱部分に巻き緊結する・・支線・ターンバックル・ワイヤーはSUS製とする。
照明器具交換
屋外型防水LED照明器具のへの取り替え
竪樋の支持かのものの取り替え
竪樋は既存使用で、支持掴み金物のみ交換
3. 門柱及び外周フェンス
門柱
門柱:仕上げ コンクリート下地+モルタル刷毛引き+吹き付け塗装・・・参考写真 資料大野岳揚水場劣化調査門柱参照
現状
鉄筋のかぶり不足により、コンクリート及びモルタル部分が錆腐食膨張の為爆裂、モルタルの浮きを確認・落下部分と剥離浮きの症状となっている。
補修仕様
爆裂・浮き剥離の補修
日本コンクリート工学協会 コンクリートのひび割れ補修・補強指針より
第6章 補修・補強 6.2.5補強工法・解説表6.2.1より・・爆裂部分、6.3.13.-14より・・剥離浮き部分の剥落防止(4)に準じる。
① 爆裂部分の処理・・現状浮き部分も爆裂


爆裂部分の処理恒久的(アスベスト含有調査の上・・湿潤養生を行い施工とする)
- 爆裂部分の錆腐食鉄筋の錆の状況を確認し、その範囲より20㎜程度広く鉄筋の裏面まで錆止め処理ができるようにハツリだしを行う
- 鉄筋が露出したら直ちに錆ケレンを行いサビ転換型錆止め材を塗布する
- 錆止め材を塗布した後コンクリートへ、中性化抑制剤(ケイ酸塩系含浸☨反応剤)を塗布+2度ほど散水養生を実施する
- 爆裂部分の充填剤は、錆抑制ポリマーセメントモルタルを充填する
- 充填範囲が広い場合コンクリートの落下防止でコンクリートビスやSUS金網を固定し充填する
② 塗装仕上げ(塗材は原則ローラー仕上げ)
- 高圧洗浄を実施 10Mpa~15Mpaで洗浄
- 下地調整材塗布
(一液水性微弾性サーフエーサー・反応硬化形エポキシ樹脂エマルジョン)
(水性ソフトサーフエポ 同等品 エスケー化研) - 建築対候性上塗り材 超低汚染弱溶剤型塗料 アクリルシリコン樹脂塗材 ローラー仕上げ
(クリーンマイルドシリコン 同等品 エスケー化研)
水性ソフトサーフエポ 同等品 エスケー化研の特性


クリーンマイルドシリコン特性


外周フェンス
外周フェンス:溶融亜鉛メッキ PCフェンスH-1800忍び返し付参考写真 資料大野岳揚水場劣化調査フェンス参照
現状
支柱忍び返しと横架材とも 農地の土砂が強風飛散しサンドペーパー状態で忍び返し部分やフェンス横架材に錆腐食が発生。
忍び返しの有刺鉄線、農地側は錆腐食に破断・・横架材は倒木による変形と法面の崩壊など支柱は転倒部分あり。
補修仕様
部材の取り替えまでの腐食がないため、現場溶融メッキ塗装(ローバル厚塗りタイプ)で塗装(10年前後の耐久性あり)延命処置とする。
部分的な支柱の倒壊・・足元周りを固め再構築・・変形横架材は取り替え
ローバル塗装の施工手順
●溶融亜鉛メッキ下地 下地処理

●ローバル塗装(厚塗り・・ローラー仕上げ)


4. ポンプ建屋内部
劣化症状
天井
漏水の痕跡や剥離などはない・・今回は、削孔作業などはないが、打ち込み木毛セメント板のアスベスト調査はしておく必要がある。
内壁
外壁同様のひび割れが全面に発生(壁・梁)貫通部分と表面ひび割れと区分はしない、ただし漏水を伴うひび割れは貫通しているものと判断とする。
コンクリート表面に劣化症状などは確認できない。
巾木
特に劣化症状はない
床面
シャッター前面の空間部分(作業スペース)に巨視的ひび割れ(1.0㎜以上)が放射線状に発生、ひび割れは床スラブを貫通した状況、雨水の吹込み時にはスラブ下へ浸透しているものと推測。
ひび割れ発生原因を確認する必要あり・・床レベルは入口レベルよりひび割れの中心部分で40㎜~50㎜程度周囲より低いため、沈下しているのではと推測される。
トレンチ枠などの変形等はないが、チェッカープレーとの塗膜の剥離が発生。
排水溝は、ヤンバルヤツデの死骸が堆積・・侵入防止対策が必要では。
機械基礎
機械基礎は床コンクリートより先行打設で基礎廻りは緩衝材の処置がなされている・・操作盤の増設基礎はスラブ上に打設された基礎でひび割れを確認。
改修仕様
天井
今回の作業対象外
内壁・巾木
ひび割れの処理・・・ひび割れの処理は外壁仕様に準ずる。
室内で漏水や対策は貫通ひび割れと、白華(エフロレッセンス)の湧出部分は外部からの漏水を伴っており外部での漏水処置とする。
貫通以外のひび割れは、中性化などの抑制と劣化因子の侵入防止待策として、柔軟性のある材料による被覆工法(ひび割れを中心にw50)を施工する【弾性サーフェーサー塗布】。
床面(付属物)
トレンチ枠は特に問題はないが、表面の塗装の劣化により剥がれが生じており全面塗り直しとする・・ケレン+錆止め+マイルドウレタン塗装(溶剤系塗装材料)。
排水溝は排水末端部に塩ビパイプによる、トラップを設けヤンバルヤスデの侵入対策をする。
巨視的ひび割れの床スラブ・
原因の推測床スラブ構造は無筋?鉄筋探査による配筋状況の等さが必要・・ひび割れ幅10㎜以上あり貫通ひび割れと推測し地盤沈下(転圧不足など+雨水の侵入)により発生したひび割れと
推測される・・・原因が特定できないと処置方法が提案できない
地盤沈下の場合、コンクリートスラブに増し打ちコンクリートでは再度沈下の発生を生じるため提案できない。沈下部分を(2.0m×2.0m・・周辺床レベルより低い範囲)程度カッターを入れ解体の上地盤改良を行いコンクリート打設を行う・・打ち継ぎ分部は緩衝材を設置。
機械基礎
爆裂処理に準ずる
床の損傷状態

床のひび割れは1mm~4.015mm程度ありほぼ貫通状態。前回調査時には、最大でひび割れ幅4.0㎜であるが今回測定で1.0㎜~15㎜程度あり、経年での挙動ひび割れと推測。
またシャッター付近からコア抜き部分のレベル差はー50㎜以上となっている・・・対策の検討が必要・・・沈下しているのか、竣工時の状態か。
基礎の爆裂は・壁面の爆裂処理に準ずる仕様とする。





